喜多方市熊倉小学校体育館
福島県喜多方市にある熊倉小学校体育館は平成27年に竣工した無垢材による木造平屋建ての体育館です。
木材を使用するメリットは数多くあります。
木材を使用するメリット
1 調質性・断熱性に優れる
2 循環型社会の形成
3 地球温暖化防止
4 林業・木材産業の振興による地域経済の活性化
基本情報
所在地:福島県喜多方市
構造:木造平屋建て
床面積:≒800㎡
また、児童・生徒への心理・情緒・健康面への効果や環境教育などの観点からも文部科学省においても木材の利用の促進を進めています。
そうしたことから、無垢材による木造の体育館の建築計画ははじまりました。
しかしながら、木造の公共施設計画は長らく途絶えていたために、現実に向けては様々な課題を抱えていました。
課題
1 大量の特殊木材の確保
2 木材の乾燥
3 施工にあたる大工職人の確保
4 構造計画
課題は多々あるものの、福島県喜多方市は豊富な森林資源に恵まれ、木材関連産業の歴史も古く、熟練した大工職人も健在です。公共施設を木造で作ることは地域の社会経済に多大な波及効果をもたらします。
ひとつひとつ、専門家の意見を仰ぎ地元企業など関係者と協議を重ね、課題を解決し、『無垢材による木造平屋建ての体育館』の設計を進めていきました。
熊倉小学校体育館の設計コンセプトは『正統派の木造建築』です。
正統派の木造建築とは、力の流れに素直な架構を持ち、地元の木材を適材適所に無駄なく使う堅実な建物を指します。
丸太から柱・梁材等に落とす時に発生する大量の板材は、木材を無駄にすることなく、屋根や壁に利用。
無垢の杉板厚さ30㎜を二重にはり断熱効果を図りました。
こうして天井や壁も杉の無垢板となり、柔らかで温かみのある感触を与え、室内の温度変化を緩和させる効果も合わさり、快適性が高まりました。
大規模建築例は集成材を利用したものが多く見られますが、地域経済活性化への効果はあまり見込めません。無垢材で建築することにより、林業・木材産業等の地域経済活性化につながり、また、全国的にも数少ない建築物と言えます。
この熊倉小学校体育館は50年、100年後も存在感のある歴史的建物となるのではないでしょうか。
(筑波大学名誉教授 安藤邦廣先生にご協力いただきました)
喜多方市教育委員会視察資料一部抜粋